自分の望むものを作るためにはスタッフと数多く戦わなくちゃいけない。時には相手を力尽くでねじ伏せなきゃならない時もあるんだけど、年を経て気持ちが柔らかくなってきたため、それができなくなってしまったんだな。
アンパンマンはとても弱いんです。雨にちょっと濡れてもだめ、顔がちょっと変形してもだめ、すぐジャムおじさんに知らせて直してもらわないと戦えない。ヒーローといっても我々と同じで、弱いんです。でも、いざというときはやるわけですよ。
アンパンマンは“世界最弱”のヒーロー。ちょっと汚れたり、雨にぬれただけでも、ジャムおじさんに助けを求める。でも、いざというときには、自分の顔をちぎって食べてもらう。そして戦います。それは私たちも同じ。みんな弱いけれど、そうせずにはいられないときもあるのです
子供が川で溺れていたら、自分は泳げなくても飛び込んでしまうような衝動というのが本当の正義じゃないかと、チリ一つもつけずに悪を退治するヒーローはカッコよすぎなんじゃないかと感じていたんです。そこで飢えた人に自らの顔を差し出すちょっと頼りない正義の味方を描いた。