才能ってやつはさ、無自覚に、周囲にいる人間を巻き込んで、ぼろぼろにしていくんだよ。 近くにいればいるほど、ずたずたに引き裂かれちまうんだ。 凡人には到底たどり着けない高見に生きる連中ってのがいる。 俺たちには見えもしない、雲の上の世界。
人間は皆…他人の見えない部分を才能と呼ぶんだ。杉野みたくあっさり人の輪に入って行ける奴。奥田さんみたく好きな事にはバカみたいに没頭できる奴。寺坂みたく何にも考えないで動ける奴。どれも俺から見りゃ才能だ。どんな奴にも…俺には見えない才能の領域があって、そういう意味じゃ皆同じだ。
創真くんの料理の閃き…それをもたらすのは天性の才能でもセンスでもなく ただただ考え抜くこと 試行錯誤を続け抜くことだ それは誰にだって出来る事だが…実はそうではない 彼らが創真くんを低く見ていた理由―― 創真くんを認めれば 努力していない自分を認める事になるからさ