おれも、父さんや母さんと同じように、埋もれて死ぬんだと思うこと怖かった。 でもアニキは「前に進め」って、オレたちをはげましたんだ 笑いながら。 手の震えが、止まった。 夢中になって掘ると、土とか岩の声が聴こえるんだ。「ここがやわからいよ、こっちを掘ってごらん」 おれはその声にそって掘るだけだ。でもあの時、あそこで諦めていたら、オレたちは死んでた。助かったのはアニキのおかげだよ、アニキが、最後まで 諦めなかったから。