将棋っていうのは正直だ 勉強した分しか上手くならない ――そう ここにあるものは 楽しい子供時代なんて平気でかなぐり捨てた 一人の人間の棋譜だった ――いや違う… 彼は投げ捨てられる程の子供時代なんて はなから 持ってはいなかったのだ…
・・・・・・いきごめません・・・・・・ いやあ 挑戦者のキップ手に入れるだけでもうこの有様ですよ? 先が思いやられる・・・っ つーか 思いやれる程「先」なんてあんのか? っていう だって宗谷はこの後藤よりすげーバケモンなんですよ?
彼の病は難病とされるもので一生付き合ってゆかねばならないものだった ―厳しい食事制限 悪化させぬようにひたすら耐えて息をころすように過ごす日々 彼が唯一 ヒーロー(主人公)となって暴れ回る事が出来るのは この たった81マスの盤上のみなのだ
宗谷は「天才」と呼ばれる人間のごたぶんにもれず サボらない どんなに登りつめても決してゆるまず 自分を過信する事が無い だから差は縮まらない どこまで行っても しかし「縮まらないから」といって それが オレが進まない理由にはならん