たとえば雨。霧のように降りしきる放課後。たとえば夕暮れ。燃えるような教室の景色。たとえば雪。初めてあった白い夜と、黒いかさ。きみがいて、わらっているだけで、幸せだった。安心できて、不安なのに。きみがいて、あるいているだけで、嬉しかった。一緒にいれて、一緒じゃないのに。ほんのひととき。その木漏れ日が暖かそうで立ち止まっただけ。けれど、いつか同じ場所に居られるよときみはわらった。……その言葉を、ずっと、誰かに言ってほしかった。―それはほんとうに夢のような日々の名残。
だっておかしいじゃないか。人間が見れるのは外見だけだろ。それを見てくれたおまえはいらなくて、心なんて見えもしないモノを見てくれなきゃイヤだ、なんて普通じゃない。普通じゃないって事は異常ってこと。ほら、おかしい話じゃないか。そいつもさ、心を見てほしかったら紙に書けばよかったのにね。臙条。おまえ、そいつと別れて正解だよ
…そろそろ行くわ。 ねぇ、黒桐くん。あなたは本当に何も望まなかった。 白純里緒と対峙した時も、死と隣り合わせだったのに中立を選んだ。 わたしには、それが不思議で仕方なかったの。あなたは今日よりもっと楽しい明日がほしくないの?
・・・私は顔を上げてヤツの死を視る。無くしてしまうのはわかっているきみが信じてくれたものや、きみが好きだといってくれた私を。わかっていても、私はヤツを殺すことにした。それで今までの自分がみんな消えてしまうとしても、きっと誰も傍にいてくれなくなるだろうけど。 それでも??それでも私は、おまえを殺したこいつが許せない??