理想を誰かに求めてはいけない。 それは弱さだ。憎むべき悪だ。 罰せられるべき怠慢だ。 自分に対する、周囲に対する甘えだ。 失望していいのは自分に対してだけであるべきだ。 傷つけていいのは自分だけだ。 理想に追いつけない自分だけを嫌えばいい。
例えばもし、ゲームのように一つだけ前のセーブデータに戻って選択肢を選び直せたとしたら、人生は変わるだろうか。 答えは否である。 それは選択肢を持っている人間だけが取りうるルートだ。 最初から選択肢を持たない人間にとって、その仮定はまったくの無意味である。
いってみれば独りぼっちとは思考の達人だ。人は考える葦であるというように、気づけば何事か思案している。なかでも独りぼっちは他人に思考のリソースを割く必要がないぶんその思索はより深いものになる。したがって我々ぼっちは余人とは違う思考回路を持つに至り、時に常人の枠を越えた発想が飛び出たりするの だ。